2018年9月1日土曜日

(282)里山に道を拓く <その23・長月>

 
  その昔、アメリカ深南部から1号線を南下、路肩のNO  VACANCYの赤い
 ネオン文字を見過ごしながら避寒地マイアミに近づいた。


 出てきたクラブハウスサンドイッチはキャッチャーミット並にデカイ。バド
ワイザーを友に平らげながら、このままキーウエストまで夜行することにした。

 黄昏。フォードを運転して港の巨大な客船を横目に見ながら、日没を追う
ようにフロリダの西の島々に一路、走った。

 20世紀初頭のタバコ鉄道の橋桁を使った橋梁で、本土のフリーウエイの路幅に
比べればはるかに狭い。深夜、前方に現れた光はやがて2灯のヘッドライトに
変わり、近づく巨大なコンボイに圧倒され、ハンドルをギリギリ右に寄せて
ブレーキを踏みながら南無阿弥陀仏・・・。

 橋、島、橋、島とおよそ4、50のサンゴ礁の島々をつないだ最先端の島キー
ウエストまで250km。メキシコ湾の東の空が薄いピンク色になった頃、街の
こんもり茂った屋敷の歩道脇に車を止めて眠った。


    目が覚めた ヘミングウエーの家は ココヨ

    リンツの市中に迷った車 ヒトラーの生家は ココヨ

    武器よさらば 最大公約数ッテ 数学ヨ

    文庫を開き 里の新酒を待とう

                         (会員 片岡一郎)
 
 

 

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