その昔、アメリカ深南部から1号線を南下、路肩のNO VACANCYの赤い
ネオン文字を見過ごしながら避寒地マイアミに近づいた。
出てきたクラブハウスサンドイッチはキャッチャーミット並にデカイ。バド
ワイザーを友に平らげながら、このままキーウエストまで夜行することにした。
黄昏。フォードを運転して港の巨大な客船を横目に見ながら、日没を追う
ようにフロリダの西の島々に一路、走った。
20世紀初頭のタバコ鉄道の橋桁を使った橋梁で、本土のフリーウエイの路幅に
比べればはるかに狭い。深夜、前方に現れた光はやがて2灯のヘッドライトに
変わり、近づく巨大なコンボイに圧倒され、ハンドルをギリギリ右に寄せて
ブレーキを踏みながら南無阿弥陀仏・・・。
橋、島、橋、島とおよそ4、50のサンゴ礁の島々をつないだ最先端の島キー
ウエストまで250km。メキシコ湾の東の空が薄いピンク色になった頃、街の
こんもり茂った屋敷の歩道脇に車を止めて眠った。
目が覚めた ヘミングウエーの家は ココヨ
リンツの市中に迷った車 ヒトラーの生家は ココヨ
武器よさらば 最大公約数ッテ 数学ヨ
文庫を開き 里の新酒を待とう
(会員 片岡一郎)
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