2018年7月1日日曜日

(260)里山に道を拓く <その21・七夕>


  6月、太い孟宗竹を数十本きり倒し、足場を整えてから二抱えもありそうな
大杉と別の杉株をワイヤーで固定、杉の中断に掛けたワイヤーは新しい作業道
にある重機のアームで絡め、チエンソーの切込みと巻き取りを連動して倒し、
地響きと土埃を巻き上げた強風が襲う。

 2,3週間して伐採で縦に一列山肌が現れた場所を尋ねると、木の香りとは
違う甘酸っぱいような匂いが漂っていた。

 輪切りにされて点在する孟宗竹の株には白い泡が盛り上がり、コバエが集まっ
ていた。父が作ったドブロクの匂いが田舎家に漂っていた、そんな子供の頃を
追憶。

 春、竹の精でできた酒だ。と。

 チベット族の住む青海省レゴンの深い谷間で営むルロ祭り楽しんでから、自宅
に招待されて祭りの宴・習慣をごちそうになった。

 宴のあとで、板が並べられた厠には匂いがない。サラサラの黄土が木箱にこん
もりと盛られ、小型の鋤が添えられていた。僧院では黄土の代わりに木灰が盛ら
れていた。

伽羅 鮒鮨 シャネル ゴルゴンゾーラ ヒノキ 菊炭

       発酵と腐敗 匂いと香り 生き物の常

       モンスーン 生物に生きる広がりを与える

       乾く高原チベット 天を仰ぎ地に額ずく 

                              (会員 片岡一郎)



 

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