2017年10月31日火曜日

(170)里山に道を拓く <その13・霜月>

 
 里山にも冬がやってきた。

 アラスカの給油地フェアーバンクス空港でマイナス摂氏36度の経験が
私の記録だ。743月、羽田空港からパンアメリカンPA800便のDC8
ニューヨークに向かうアラスカ上空では幅の広い蒼白いカーテンが揺れる
見事なオーロラだった。

 空港は吹雪いている。照明で照らされた白い小さなターミナルにタラップ
が寄せられ、外に出ると寒気で顔がひきつり、手すりを掴んだ左手は痛く
離れない。慌てて引き戻し、ケガがなかったのが幸いだった。

 米軍基地には売店もない質素な待合室であったが、暖かかった。

 冬の里山は落葉樹の葉が落ちて、見透視が良くなるために起伏、尾根が
よくわかる。消えた山道を一人で歩いても気持ちの余裕ができる。

 緩やかな斜面にむかし炭を焼いた大きな穴が、数百メートル離れてまた
同じ窯跡があるのは、焼く雑木の定量を測った木こりの経験則なのであろう。

 この島国の冬は炭が生活に欠かせない熱資源であったが、今や便利な油と
ガスに変わった。
     

      島国の莫大な¥を 油の国王に垂れ流し

      稼ぎ頭の電気屋 身売りが続く

      メルトダウン 受取拒否 七輪の灰は畑に

      手間をかけて 焼き芋の甘い香り せめて今夜は芋で飲ろう

 
                                                           会員 片岡一郎
 
 

 

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