2017年4月30日日曜日

(132)里山に道を拓く<その七・皐月>


 ヒマラヤ山脈の裏側に立つと紺碧の空に、南方の山並みは白く、草木
 
のない広大な死砂漠。ラサから聖山カンリンポチェ(カイラス)に向かっ
 
てガレキの高原を走る。およそ2百年前、河口慧海は食料のツァンバ(焼
 
き大麦粉)を背負い、表ヒマラヤ連山の谷を抜けて、裏側のチベット高原
 
の雪原を歩く。ある時は岩陰で砂嵐の止むのを待ち、ラサにたどり着いた。

 ランドクルーザーの旅は快適だ。

 あなたの高山病では カイラス巡礼にあるドルマ峠(5,668)越え
 
は危険だ。 

北壁までの日帰りなら案内する、と。

 

      ただひたすらに 登ってきたのだ 

      豊穣の河口に踊る者たちよ

      三途の川原に来ても 愚か者への道はない

      路肩に腰掛けて リンガに電話しよう

                        (会員 片岡一郎)
 
 

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