旅とグルメは、切ってもきれない仲でしょう。2018年の新年早々、1月27日に、
京都西北ロータリークラブが、京都市中京区の「ハートピア京都」で、食のシンポジ
ウム 「摘草料理は日本の食文化の原点か…京の食文化を語る─。」 を開きました。
食シリーズの3回目ですが、私も案内をいただいたので、聞いてきました。
パネルディスカッションは、門川大作・京都市長、料亭「菊乃井」の村田吉弘さん、
料理研究家の大原千鶴さん、摘草料理で有名な「美山荘」(花背)の中東久人さん
のメンバーで、コーディネーターは、フードコラムニストの門上武司さんでした。
テーマの摘草料理のさて原点は、というお話では、中東さんが、小倉百人一首の
光孝天皇の「君がため 春の野に出でて若菜つむ わが衣手に雪はふりつつ」を
紹介しました。大原さんは、京都料理の特徴は、野菜が多い、四季の食材を使い、
日本の四季が食卓に表れている―などと説明しました。村田さんは修行時代を思
いだして、ある名人が「神様がつくった(自然の食材という)ものを、人間ごときが
味つけるか?!」と言われたそうです。続けて「料理人は、どうしても味をつけたが
りますな」と、笑いを誘いました。
門川市長は、京都の“居ずまい”を食に例えて「イモも、『おイモさん』と、お だけ
でなく さん もつけますね」と。家庭料理を大切にしたいとしたうえで、「家庭で、
家庭料理をつくらない時代になってきました。京都市では、学校給食で家庭料理を
出して、子どもたちが家に帰って、『給食で食べたおかず、作ってなー』と言えるよう
な『みやび献立』も取り入れています。給食のレシピは、いつでもご家庭に渡します
よ」と、結びました。
「和食」は、2013年12月に、ユネスコの「無形文化遺産」に登録されました。
その実現へ向けて、運動を展開したNPO日本料理アカデミー理事長の村田さんは、
「日本の国自体が、料理を『文化』として認めていませんでした。ユネスコに言われた
んですよ。日本が認めていないもの「和食」を、ユネスコに認めろというのですか?」
と。国が文化として認めなければ、料理人から人間国宝は永久にでない、という
理屈だそうです。
「和食」が無形文化遺産に登録される前に、世界の日本料理店は5万6000軒
でしたが、登録以降、現在は11万8000軒だそうです。
面白い食の話をいっぱい聞かせていただいて、ごちそうさまでした。
(会員・井上年央)