里山にも冬がやってきた。
アラスカの給油地フェアーバンクス空港でマイナス摂氏36度の経験が
私の記録だ。74年3月、羽田空港からパンアメリカンPA800便のDC8で
ニューヨークに向かうアラスカ上空では幅の広い蒼白いカーテンが揺れる
見事なオーロラだった。
空港は吹雪いている。照明で照らされた白い小さなターミナルにタラップ
が寄せられ、外に出ると寒気で顔がひきつり、手すりを掴んだ左手は痛く
離れない。慌てて引き戻し、ケガがなかったのが幸いだった。
米軍基地には売店もない質素な待合室であったが、暖かかった。
冬の里山は落葉樹の葉が落ちて、見透視が良くなるために起伏、尾根が
よくわかる。消えた山道を一人で歩いても気持ちの余裕ができる。
緩やかな斜面にむかし炭を焼いた大きな穴が、数百メートル離れてまた
同じ窯跡があるのは、焼く雑木の定量を測った木こりの経験則なのであろう。
この島国の冬は炭が生活に欠かせない熱資源であったが、今や便利な油と
ガスに変わった。
島国の莫大な¥を 油の国王に垂れ流し
稼ぎ頭の電気屋 身売りが続く
メルトダウン 受取拒否 七輪の灰は畑に
手間をかけて 焼き芋の甘い香り せめて今夜は芋で飲ろう
会員 片岡一郎